イーグル=ライオンという会社はどんなところだったのか。FBIの資料や当時の証言を見ていきたい。

『霊界魔人ミスターX(Amazing Mr. X, 1948)』
霊媒詐欺師と死んだはずの男が結託して悪事をたくらむ。映画のアイディアはかつてのPRCの映画と大差ないが、製作のレベルは格段と上がっている。監督:バーナード・ヴォーハウス、撮影:ジョン・オルトン。

イーグル=ライオンの内部に関するいくつかの証言

情報源T-1によれば、イーグル=ライオン・モーション・ピクチャー・スタジオの契約部長、レイ・E・ヤングの秘書レイゴン・マーゴットが1948年3月15日に、ロッセーリのイーグル=ライオン・スタジオでの購買部の雇用契約終了の通知を確認したという。この情報源によれば、ロッセーリは、イーグル=ライオン・スタジオの購買部での従業員という立場から、脚本家/プロデューサーという立場に移籍されることになり、彼のオフィスもイーグル=ライオンのメイン・オフィスの正面、ロサンジェルス、フラー通り1000番地にある交通局のビルの中にあるオフィスに移される。

さらに、この情報源によれば、ロッセーリは、イーグル=ライオン・スタジオの副社長、ブライアン・フォイと、カリフォルニア州、パーム・スプリングスに週末によく出かけるという。また、ロッセーリは、カリフォルニア州、エンシーノ、エンシーノ通り4849番地にある、ブライアン・フォイの自宅を頻繁に訪れている。

FBI [1]

さらに情報源T-1によれば、ブライアン・フォイは「ヤクザ好き」として知られているという。また、フォイ夫人は以前は売春婦だったという。この事実は、数年前にブライアン・フォイが結婚した時に騒がれたスキャンダルを追っていけば、確認できるはずだという。

情報源T-1が述べるところによれば、ジョン・ロッセーリは、イーグル=ライオンに雇われているあいだ、ひどい「女狂い」で、見境なく女性従業員に手を出していたという。イーグル=ライオン・スタジオの購買部員ソル・ドルギンの秘書だったバート・スコベルは、オフィス内でロッセーリに極めて嫌なことをされて、それが彼女が退職するきっかけの一つだったという。

この情報源の推測では、ロッセーリは強請屋やヤクザと堂々と会うような真似はせず「賢く」ふるまっているという。噂では、そういう人物たちとは、パーム・スプリングスやカリフォルニア州、エンシーノのブライアン・フォイの自宅で会っているのではないかということだ。

FBI [1]

(ジョン・ロッセーリとブライアン・フォイは)二人とも女好きだった。女を探し回って、スクリーンテストをさせ、映画で役を与えていた。売春婦もいた。売春婦はいつもやってきていた。バーニー(ブライアン・フォイ)は彼女らにも端役を与えていた。私が出演した映画 ─── 『肉の蝋人形』でもよく見ると出ている。ちょっとした端役にいるのがわかるよ。

Paul Picerni [2]
FBI 文書、ロサンジェルス支局、1947年9月27日

XXXXによれば、ブライアン・フォイの弟であるチャールズ・フォイはヴェンチュラ通りにある彼のナイトクラブで元服役囚を複数雇っているという。ブライアン・フォイもジョン・ロッセーリと関係が深く、スタジオでは犯罪者たちを多く雇っている。XXXXがこの情報を提供したのは、ジョン・ロッセーリがイーグル=ライオン・スタジオで職を得る前だったという点は強調しておく。

FBI [1]

XXXXは、業界の中で元犯罪者を好んで雇うことにおいては、フォイが一番だろうという。二番目はハリウッドのエージェントでルー・アーウィンだろうという。この男はニューヨークでは「ブリンキー」という名で知られ、株の詐欺や偽取引をやっていた。元犯罪者と接触が三番目に多いのはハーマン・スピッツェルだという。

FBI [3]

情報源T-4によると、ブライアン・フォイは売春婦との関係をしょっちゅう自慢し、夜の出来事についてペラペラとしゃべっているそうだ。この情報源の話では、フォイはイーグル=ライオンでまるで演技力なんかない女性をたくさん雇っていて、映画で端役を与えているという。

FBI[1]

アルマ・ヤング(ワーナー・ブラザーズのスクリプト係)は言う。『紐育の灯(Lights of New York, 1928)』の監督だったブライアン・フォイは「あちこちの刑務所に行って、囚人を選んできていた。撮影所は犯罪者だらけになってしまった。嘘じゃない。本当。ちょっと酷すぎて恥ずかしいくらいだった。」

Chris Yogerst [4]
ブライアン・フォイ(1954年)
Los Angeles Public Library Photo Collection, Valley Times Collection, “North Hollywood Panel (部分)”

XXXXは、フォイがロッセーリを雇う理由として、他にも以下を挙げている。現在、イーグル=ライオン・スタジオは、チェサピーク&オハイオ鉄道のロバート・R・ヤングが100%所有しているが、ヤングはフォイを今の地位から解任しようとしている。しかし、フォイは週3000ドルの3年契約を結んでいる。XXXXによれば、ヤングは契約を買い戻そうとしたが、フォイが毎週の収入に加えて、3年のあいだにイーグル=ライオンで製作される映画のパーセンテージの契約を譲らないという。これがゆえに、XXXXによれば、フォイは、組合と揉め事が起きたときのために、ロッセーリが必要なのだという。XXXXによれば、週60ドルの購買部アシスタントの仕事なんて、仮釈放の規則をクリアするためにやっているだけだという。

FBI [3]

XXXXの追加の情報によれば、IATSEとハーブ・アラーが組合長を務める地域組合に加入しているカメラマンたちがストを決行すると決定したが、突然、「ストライキは中止だ」という命令が下ったという。これも、XXXXが言うには、ジョン・ロッセーリの圧力があったからだという。

FBI [3]
ジョン・ロッセーリ(1948)
仮釈放中の違反行為の疑いで郡拘置所に留置されていたが釈放された。その直後、ロサンジェルスで。1948年11月18日。UCLA Library Department of Special Collections, Los Angeles Times Photographic Collection, Creative Commons Attribution 4.

REFERENCES

[1]^ "Louis Campagna, with eliases, et al," Federal Bureau of Investigation, Los Angeles, 58-125, Oct. 1947.

[2]^ L. Server, "Handsome Johnny: The Life and Death of Johnny Rosselli: Gentleman Gangster, Hollywood Producer, CIA Assassin." Macmillan, 2018. Available: https://books.google.com?id=KEEviakaYcUC

[3]^ R. B. Hood, "Re: Louis Campagna, was; et al. Bribery; Parole Matters," Sep. 1947.

[4]^ C. Yogerst, "The Warner Brothers." University Press of Kentucky, 2023. Available: https://books.google.com?id=emmYEAAAQBAJ